2014年11月22日

「ニシノユキヒコの恋と冒険」川上弘美 〜ちぃの読書感想文〜



大人になったら、こんな風に
大人みたいな恋愛をするんだろうなって思ってました。

大好きな川上弘美さんの本。
もう、ページをめくっただけで
フォントがなめらかで柔らかで、好みでした。

ニシノユキヒコという、ひじょーーーーにくそったれ女ったらしな男と
数々の女性との恋愛を描いた、作品です。
その一生が時系列ばらばらで、短編になっています。

こんな風に、ころころとまるで洋服を買ったり捨てたりするように
次々と恋愛を重ねる人も、世の中には居るんだろうなぁ。
だけどどの女性とも「深く愛し合う」ことが出来ずに
最後は女性に去られてしまう。

ここんとこ“恋愛モノ”を読んでいなかったので
ふと、10年前くらいの自分に戻ったような気持ちで
読んでいました。
私はモテたこともないし、モテまくりの人を好きになったことも
ないのだけど、
この本の中のように、稲妻が落ちるかのような一目惚れとか
他の女性の影がちらついていても、見て見ぬ振りをするとか
友達に寝取られちゃうとか
そういう“上級な(私にとっては)恋愛”って
30代になるまでくらいには、経験したりしても
おかしくなかったかもしれないななんて、振り返ったりもして
だけど実際の34歳の私は、中学生の頃と同じように
「大好き」「会いたいよ」毎日言わないと気が済まないような
そんな頃と同じようなハッピーな恋愛しか、重ねてこなかったな
というか、現在進行形ですが…(笑)、
そんな風に、なんだか子どもっぽい自分が
情けなくなっちゃうくらいに。

この本から、恋愛の虚しさや憂いや矛盾や痛みを
感じ取れた気がしました。


でも。
私だったらやっぱり、ニシノユキヒコは好きにならないかな。










今日の私のBGM。なし。

posted by ちぃ at 00:00| 日記