2017年08月02日

「抗」 〜栞と育児〜

あんなに泣くなんて、初めてのことだ

仕事の都合でどうしてもいつもの時間には迎えに行けず
初めて17時まで預かってもらうことに

いつもは早くて15時半、遅いと16時過ぎのお迎え
すっかり保育園にも慣れたし、たった1時間だし、と
「大丈夫だよね」と信じてしまった

どうやらいつもの時間を過ぎ、半分ほどの園児が帰った後は
0〜5歳児クラス全員と先生方全員、ひとつの部屋に集まるらしい
アレいつもの部屋にいない、と幼児クラスに迎えに行く
入った途端、大人でも分かる
やっぱり大きい子たちの部屋は、雰囲気が違う
担任の先生もいるけど、大きい子たちとその担任の先生たち
みんなが一緒にというのは、やはり雰囲気も違う

それでも栞は笑顔で「ママーー」と駆け寄ってくれた

「今日は遅くまで頑張って偉かったね、じゃあ帰ろうね」
みんなにさようならをちゃんとして、部屋を出る

あ、普段は履かない上履きを履いている
乳児クラスは裸足だが、幼児クラスは上履きを履いている
月一の避難訓練でしか履くことのない上履きを
栞も履いていた
玄関で脱がそうとしたら・・・

突然、ものすごい勢いで泣き始めた

私へ
私へ
何か言いたいのだろう、と思った

 何でいつもの時間に来てくれなかったの
 何でいつもと違う部屋なの
 何でいつもと違うみんなと先生がいるの
 何で上履きを履いているの
 わからない、わからない、わからない


混乱し、それでも「がんばっていた」のだと気付いた
それが、溢れて溢れて、泣いているのだと感じた
1時間くらい長くても「大丈夫だよね」信じた私を
責めているように思った

たくさんたくさんいっぱいがんばってくれてたんだ
ごめんね、ママがいけなかった

帰ろうと言っても、聞かない
いつもの部屋に戻って行ってしまって、体をのけぞり泣いている
抱こうとしても、抱かせない
違うじゃないかいつもと違うじゃないか、と言っているように

100%の力で泣いたとき、私をも拒否したとき
10kg超えの体は重たく感じた
いつの間にこんなに力が付いたのだろうと思う
慣らし保育で毎朝あんなに泣いたときの、どのときより
こんなにも力強く、泣いている

荷物を持ち、靴下と靴を持ち、無理矢理抱きかかえ
自転車に乗せようとしても、乗せられない

外は霧雨が降っている
アスファルトに寝そべり、体をのけぞり泣いている

なんて言ってるのか
それを言葉にしてくれたなら、どんなに楽だろう

 ごめんね、いっぱいがんばったんだよね
 がんばってたの、ママ知ってるよ
 えらかったね、いつもよりたくさんだったもんね
 おうちに帰ろう、もう大丈夫、大丈夫だよ

チャイルドシートのベルトをくぐり、体をよじり
ヘルメットを道路に落とし、こちらを向いて泣き叫ぶ
自転車を降り、仕方なく押して坂をのぼる
「おっぱいおっぱい」と叫んでいる

雨が強くなってきた

どうしたのと、道行く人に話しかけられる

涙が出てくる


 保育園にはすっかり慣れた
 お友達とも先生とも上手に遊んでる
 ご飯もおやつも残すことなく
 お昼寝もしっかりできて
 お着替えも自分でしようとするようになって
 本当に「いいこ」

それは、栞ががんばってるから、なんだ
私は、何かはき違えていたのかもしれない
保育園に預けているのは、親の都合
子どもが望んで遊んでいると思っているのは、親の都合

「がんばってくれてるんだ」ということを
いつも常に必ず、忘れずに持っていないといけない



ひさしぶりに、一緒に泣いた




posted by ちぃ at 23:13| 栞と育児