2014年11月01日

「天国旅行」三浦しをん 〜ちぃの読書感想文〜



ハマりました。
初めて読んだ作家さんでした。
ふたつあったうち、表紙が好みだった方を選びましたが
これを選んで良かったと思っています。
後で調べてみたら、映画にもなった「舟を編む」を書いた方でした。

この作品は、自殺をテーマにした短編小説集。
テーマが重いだけに、買うのを躊躇ったのですが
前回読んだ本から受けた「死」への思い、価値観を
さらに深めたいと思って
また、自殺は罪だということを以前日記にしましたが
そういう自分の考えが、このような小説を読んでどう変わるか
変わらないのか、を知りたくて手に取ったのでした。

ものすごくおもしろい一冊でした。
私は読むのが早い方ではないので、半身浴をしてる間
20〜30分で短編を一編読み終える感じで
7編を7日かけて、読んだのでありました。

どの話もとても印象に残っているのですが
その中でも「炎」という話を読んだ日には
映像でその光景が目に焼き付いてしまっていて
寝る時に、怖くなってしまったほどでした。
本を読んでいて、集中してくると
どうも映像が浮かんできてしまうのです。

この中のお話はどれも、とても悲しい死を描いています。
どうしても自ら死を選ばなければならなかった、
それ以外に道はなかった、
葛藤と勇気の末に、命を絶ってしまった、
そういったお話たちです。
ですがそのどれも、暗くはなく
本当に美しい文章と、想像力をかき立てる描写で
書かれて(描かれて)います。

素晴らしい一冊でした。

私の「自殺」への価値観が変わったのか…は
まだ自分でも分かりません。
だけど、自殺を選ぶ人の気持ちを
この一冊を通して、体感することは出来たのかもと思いました。

難しいです。

でもやっぱり、人は生きるべきだと私は思います。
このお話たちのような、悲しい出来事が
世界からひとつでも減っていくよう
人は皆日々を試行錯誤しながら、模索しながら
生きていかなくてはならないのだと、思います。

三浦しをんさんの作品、また読んでみようと思います。
文章がとても好みなんです。

という訳で、次に続く。のであります。








今日の私のBGM。高橋直純「櫱桜」。
posted by ちぃ at 00:00| 日記