小学生のときのおはなしです。
学級委員とかやっちゃうような、優等生タイプでした。
勉強も、好きでした。
ですが、ひとつだけ私にはコンプレックスがありました。
私の通信簿は
「体育がBで、あと全部A」
というのが、お決まりでした。
通信簿の3段階評価。体育だけはいつもAが取れませんでした。
クラスメイトの前で、自分だけが「出来ない」。
走るのも遅い。ドッジボールはすぐ狙われて外野。
バスケットボールも鈍くさいプレーばっか。
マラソンなんて以ての外。
そんな私が、一度だけ体育もAをもらえたことがあります。
4年生の1学期。
逆上がりが出来るようになった、ときです。
何度やっても出来なかった、逆上がり。
放課後何度も、何日も何日も練習した、逆上がり。
回れないと、お尻を持ち上げてくれた先生。
“絶対に出来ないんだ、私には”
それなのに、先生は体育の授業で
みんなの目の前で、ひとり、私に逆上がりをさせました。
やっぱり、お尻が落っこちて失敗しました。
「出来ない、と思っているから出来ないんだ」
足を蹴り上げた時点で、諦めているじゃないか
先生は、そう私に怒りました。
そして、もう一回、挑戦して・・・。
唯一の、体育「A」。
先生は、私に“オールA”をくれました。
先生は、学校一厳しい方でした。
私はその先生からいろんなことを、学びました。
今も、思います。
「出来ない」と思っていて「出来る」ことなんて、無い。
どんな困難も「出来る」と思うことが
まず必要なのだと。
大人になってからも、生活の上で“オールA”を取ることは
とても大変です。
ですが私はそれを「出来ない」と、思いたくないのです。
だって、
逆上がり、出来るようになったのだから。
今日の私のBGM。なし。