2011年12月12日

「センセイの鞄」

感情移入、得意です。
でも、主人公になった気分で読んでいるという訳ではなく
多分、登場人物を少し離れた所から見ている人。のような
そんな気分で、ただただ小説の世界の中に
入り込んでしまう。そんな感覚です。

川上弘美さんの「センセイの鞄」を読み終えました。
本当に、本当に
素晴らしい作品でした。

二回りほども歳の離れた「センセイ」と「ツキコさん」の
せつなく淡い恋愛物語です。

もう何というか・・・読み終わって胸がいっぱいになりました。

センセイの言葉遣い。
ツキコさんの雰囲気。
淡々と日記のように綴られていく日々と、少しずつの変化。

ひとつひとつの描写が
大袈裟でなく、でも細やかで
小説の中に引き込まれるように、気付けば読み耽っていました。

読み終わるのが勿体なくて、でも続きが気になって。

最後には、泣いていました。

作品の中で
様々なお料理が出て来ます。
その中でも、印象的だったのが「湯豆腐」が出てくるシーン。
今日電車を降りてから、続きが気になって立ち止まって
そして読み終わって、少し泣きながら自転車に乗って
帰って来たら、うちの夕飯。
湯豆腐でした。
なんだか小説の中と繋がっているような感覚に陥って
ただの湯豆腐が、より一層おいしく感じられたのでした。


もう一度、またもう一度、
読み直したい大切な作品に出会いました。







今日の私のBGM。なし。
posted by ちぃ at 00:00| 日記