感情移入、得意です。
でも、主人公になった気分で読んでいるという訳ではなく
多分、登場人物を少し離れた所から見ている人。のような
そんな気分で、ただただ小説の世界の中に
入り込んでしまう。そんな感覚です。
川上弘美さんの「センセイの鞄」を読み終えました。
本当に、本当に
素晴らしい作品でした。
二回りほども歳の離れた「センセイ」と「ツキコさん」の
せつなく淡い恋愛物語です。
もう何というか・・・読み終わって胸がいっぱいになりました。
センセイの言葉遣い。
ツキコさんの雰囲気。
淡々と日記のように綴られていく日々と、少しずつの変化。
ひとつひとつの描写が
大袈裟でなく、でも細やかで
小説の中に引き込まれるように、気付けば読み耽っていました。
読み終わるのが勿体なくて、でも続きが気になって。
最後には、泣いていました。
作品の中で
様々なお料理が出て来ます。
その中でも、印象的だったのが「湯豆腐」が出てくるシーン。
今日電車を降りてから、続きが気になって立ち止まって
そして読み終わって、少し泣きながら自転車に乗って
帰って来たら、うちの夕飯。
湯豆腐でした。
なんだか小説の中と繋がっているような感覚に陥って
ただの湯豆腐が、より一層おいしく感じられたのでした。
もう一度、またもう一度、
読み直したい大切な作品に出会いました。
今日の私のBGM。なし。