1人でバス停のベンチに座って、バスを待っていたら
アリの行列が、目の前を横切っていることに気付きました。
小さなアリ。
何百…何千?のたくさんのアリが、
みんな同じ方向に向かって、ゆっくりと歩いていました。
子どもの頃、学校の帰り道。
アスファルトを横切る、大きなアリの行列を見つけた。
一緒に帰っていた友達が、おもしろがって
ダンダンッとたくさんのアリを踏んで歩いた。
私は…
私は………
「ダメだよ!かわいそうだからやめようよ!」
そう…言えなかった。
何で言えなかったんだろう。わからない。でも言えなかった。
“ごめんね…”
そう思って、ふとしゃがみ込んで無事だったアリたちを
上から眺めていた。
すると一匹のアリが私の手にのぼってきて、
「痛っ!!!」
私の手を思い切り噛んだのです。
左手の親指の付け根のあたり。
小さなペンチで挟まれたかのように、すごく痛かった。
“違うよ…私は殺してないよ…”
違うよ…
違うよ………
それ以来、私はアリを踏まないように気をつけて歩くようになりました。
私は殺してない。
でも「やめなよ」って言えなかった罰なのかな。
アリさんに怒られたんだ、きっと。
アリの行列を見ると、
今でも左手の親指の付け根のあたり。痛みます。
今日の私のBGM。なし。