駅のホーム。
少しでもあったかい所へ、と人が群がる待合室。
そのうちの一人である私は、待合室を出て、
電車に乗ろうと、歩いた。
すると、その待合室の外側の壁に寄っかかってる、鳩。
こんな寒い所で。
電車に乗ろうとしている人でいっぱいの所で。
ひとり、寂しく、壁に寄っかかっている、鳩。
立っているというよりは、座っている感じ。
よく見えないけど、多分、片足がないんだね。
きょろきょろと首を動かし、その瞳はきれいだった。
弱ってしまったんだね。
飛びたいのに、飛べないんだね。立ち上がれないんだね。
かばんの中にあったパンをひとかけらあげようか、迷った。
駅には「鳩にエサをあげないでください」の貼り紙。
周りには人がたくさん。私の乗る電車が到着する。
私は“ごめんね”と心の中でつぶやいて、電車に乗った。
あの子は、ちゃんと飛んで行っただろうか。
私が、ひとかけらのパンをあげていたなら、元気になっただろうか。
それとも、飛んで逝っただろうか。
「痛いよ」
そう言われてる気がして、胸が痛かった。
泣きそうになった自分を振り切って、ホームに置いてきた。
電車が発車した。
今日の私のBGM。いろいろ。